勉強会までの往復の電車で狼と香辛料を読んでいた。


中世の欧州をモデルとした架空世界で行商人が旅をするのだが、
商人の描写というのが非常によく出来ている。

たくさんの種類の貨幣が混在しており、グレシャムの法則(悪貨は良貨を駆逐する)
が物語の軸に据えられたりと非常に面白い。

そういった諸々のリアルな世界観の描写が、その舞台上で活躍する登場人物を
生き生きとさせているように思う。
ご都合主義の世界では何が起きても驚きがない。
現実世界のような辻褄の合った世界だからこそ、特異な事件は物語足りうる。


さて、件の物語の主人公ロレンスは自他ともに認める商人で、
金もうけのためであればプライドなど捨ててしまえとばかりの合理主義だ。
このあたり、商人としての潔さがある。

自分はどうだろうか。
自他ともに認めるエンジニアなのだ。
だから、行動原理はロレンスのようにはいかない。
エンジニアにはエンジニアの合理主義がある。


商人はあらゆる事象を自身の金もうけのために利用する。
エンジニアはあらゆる事象を技術の完成のために利用する。
もちろん、金さえもだ。

私にとってはヒト、モノ、カネは成し遂げたい技術のための道具なのだ。
このあたりが商人とエンジニアの違いのように思う。