Webで妙なことを口走って袋叩きにあう人って多いけど、Webじゃなかったら大丈夫なのだろうか?
例えば最近だとオタク趣味な夫 : 生活・身近な話題 : 発言小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)あたりが話題になった。ネットでは夫側への同情と妻への非難が集中している。しかしこの話題、井戸端会議だとあるいは妻側が多数決で支持されるのではないだろうか。
Mixiなどで犯罪自慢のエントリが書かれることも多いが、多分友人間では問題にならないのだと思う。友人と言うか仲の良いグループというのは、互いが行う行為を許容する人間同士で集まっている。そうした狭い社会の中では許容され、あるいはネタとして喜ばれるものかもしれない。
リアルでは情報の伝達に物理的な空間という越えられない壁がある。それゆえに同じ思想の人間だけで集団を作り話し合うことがメインとなってしまう。
ところが、ネットというのはグローバルな世界であるから、内輪でのみ許容されることが通じないことが多々ある。
また、リアルでは避難の対象となる相手が陰口を叩いている輪の中にいきなり現れることはそうそうないわけだが、ネットではそうした立場の違うものもまとめて同じ場に躍り出る。
ネットで炎上のケースというのは、内輪の社会では許容されるが、もっと広い社会では否定される事項を取り扱った場合がほとんどではなかろうか。見てほしくない人にまで見られてしまう、それがネットなのである。
社会性を身につけるのは子供の頃だよね
子どもから大人へと成長する過程で、世界はどんどん広がっていく。そして、郷に入りては郷に従えということを覚えていく。
広がった世界でそれまでのやりかたが通じずに泣き、喚き、駄々をこねて、結局自分が変わるしかないことを知る。そうして社会性を身に着け大人になっていくわけだ。
しかし、ある程度の内輪の世界に身をとどめ置くと、それ以上成長する必要がなくなってしまう。古典的なリア充というのはこの内輪の集団を作れる存在なんだろう。*1
しかし、ネットという本当に不特定多数の人間が触れ合う場に出るには、内輪によるガードというのは限定的にしか機能しない。
それゆえに万人にとって問題がないとされる発言で臨まなければならない。
万人にとって真であるためには、無矛盾であることを目指す必要がある。「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」というジャイアニズムは通用しない。冒頭の例では、立場を入れ替えたらどうなの?という状況を想定するだけで、容易に矛盾が露呈する。
そうした意味で、ネットで声高に発言するというのは怖いし覚悟がいる。
ロジカルシンキングを身に着け、「過ちて改めざる是を過ちという」「君子豹変す」の精神で臨まなければならない。
それ以外の方法でメディアコントロールを試みてもだめだ。それは火に油を注ぐことにしかならない。
対称性を尊重すると受け入れざるを得ないものも多い
「ちょっとでもなんかあったら逃げられないようにしてやる」という目的で使う奴が気持ち悪いんですよ。
というコメントを頂いた。感情的には気持ち悪いというのは同意するところだが、見張られて困ることをするではなし、放っておくしかない。というより、無矛盾であるためには、自分が監視されることを否定できない。人の監視はするけども、自分は監視されたくないなんてジャイアン的発言は子供のころにダメだって学んだろ?
では、自分にミスがあったらどうするか。訂正すればよい。その過程はオープンに行えばいい。闇に葬ろうとしたり、後だしの言い訳で、自分が悪くなかったことにしようなどと試みれば、それこそ炎上してしまう。言論を封殺したり、証拠を隠滅したりといったことはネット上ではできない。メディアコントロールする術がない場で、発言するというからには、清廉潔白に行動するより仕方がないのである。
エンジニアが作り上げたこのネットという世界は、正にそうしたエンジニアの正義 - プログラマーの脳みそを体現したシステムと言えよう。
こうした話はあるいは中二病のように見えるかもしれない。理想論を語るとそうした反応がつくことが多々ある。Web魚拓の適法性 - プログラマーの脳みそでもブクマにて
”清廉潔白な行動を旨としていれば、Webでどの時点でどのように広報したかという情報を履歴として残されてもなんら問題にならないはず。”ものすごい中二病的発想
というコメントを頂いた。
いわゆるマッチョは中二病のように見える。違いは、夢想したことを実現させてしまうだけの力をトレーニングの積み重ねで身につけてしまったか、夢見るだけかである。言論において、エンジニアというのはマッチョな存在である。そんなエンジニアが作り上げたこのインターネットという世界は、エンジニア的理想論がそのまま体現される。
エンジニアは便利さをセールストークにこんなにも恐ろしいインターネットを広げている。これはエンジニアの罠なのだ。俺たちがマッチョでいられる世界を広める野望なのだ。