一切の連絡の取りようのない相手は死者も同然

大事な人が居る。

いや、あるいは居た、と言った方が正しいかもしれない。

ある日突然、一方的に一切の連絡を絶たれてしまった。

今、どうしているだろう。幸せを祈ってやまない。僕には祈ることしか許されていないのだから。

心臓の病で若くして亡くなった友人がいた。彼の墓を参るのも、連絡の取れない人に祈るのも、なんら変わらない。僕は祈るだけ。

生きていればこそ、また会えるかもしれない。だから僕はこの街に居続ける。万に一つの可能性のためだけに。生きて会えたなら、ただ礼を言いたい。ありがとう、と。あなたがいなければ今の自分はなかった。

花を供える場所もないから、部屋に活けておこう。この思いは伝わらない。ただ、事実として僕が想い続けていることを示す、儀式のようなものだ。墓参りとなんら変わらない。