費用対効果の補足 「繋がり」という効果

個人のWebサイトは費用対効果があがらない - プログラマーの脳みそのブクマとかを見ているとどうもタイトルで誤解されてしまった雰囲気。

「費用対効果」と言った場合、費用と効果を対比させているわけなのだけども、投入する「金銭もしくは労力」と「広告効果」で費用対効果と誤解させてしまったか。

投入する「金銭もしくは労力」と「得られる機能性」=「繋がり」を対比して「費用対効果」としているのが該当エントリの論旨だった。

昔、表現をしたい人間が発表の場としてインターネットを選び、次々と個人サイトができていった。
「ホームページ」とも言うように、みんなが個人の家を持ち、その家の中で作品を発表した。
みんながみんな、点々と家を持ち発表をしていた。
しかし、同じジャンルを志すもの同士、繋がりたいものである。
それを助けていたのが「リンク集」や「登録型サーチエンジン」。
同好の士、お互いの家は離れていたけど、どこに位置するかを示す地図があり、みんなそれを頼りに足を運んだ。仲間に入るためにみんな自分の家を地図に載せてもらった。でも、みんなどこかバラバラだった。
数年前だけどかなり昔の話。もう戻ってこない遥かなる過去。

「発表の場」としての個人サイトは絶滅する。


たとえばはてなダイアリーを引き合いにするとして、はてなダイアリーおとなり日記のような「繋がり」、はてなブックマークの関連エントリといった「繋がり」、はてなキーワードによるキーワード言及による「繋がり」といった機能を得ようとした場合、はてなのような既存の無料で使えるブログサービスを用いた場合は、投入資金は0円だし、導入の手間も少ない。*1

これを個人で立ち上げたサイトで同じだけの「繋がり」を得ようとしても、それを実現してくれる出来合いのシステムなんてのは現存しない。
四苦八苦してシステムをインストール、という苦労を厭わない心意気だったとしても、労力の見積もりが全然甘い。

結局のところ、はてななどの運営会社が苦労して試行錯誤しながら作り上げてきたシステム同等のものを「自分でくみ上げる」必要があるし、しかも組み上げたところで、他のサイトはそんな個人サイトの機能性に乗っかろうとはしてくれない。

例えば、ITmediaなどのニュースサイトでははてなブックマークへのリンクが存在していたりするわけだが、個人ではてな同等の機能性のサイトを作っても、ITmediaはあなたのサイトのシステムにリンクしてはくれないだろう。


こうした事情も踏まえて、個人ではてなのような「繋がり」を得ようとしたならば「費用対効果があがらない」と評したのであった。元エントリで挙げられていたpixvははてな程の「繋がり」を持ててはいないが、それでもああしたサイトの「繋がり」と同等のものを個人で作り上げようとしたならば、その労力は想像を絶すると思った方が良い。

ならば、「システムを作る」ことそのものが趣味のようなプログラマは置いておいて、個人でシステムを作る意味がない。出来あいのシステムを利用する方が安い・早い・美味いのだから。

というわけで、私は「発表の場としての個人サイトは絶滅する」という説の方が説得力があるだろうと考えている。

*1:はてなはヘルプが分かりにくいという批判があるが、それでもある種の出来あいのWebシステムをヘルプ見ながらインストールしたりするよりは断然楽だ