SI屋の経営陣が技術の空洞化に気づかない理由

 忘年会シーズンが始まった。私も仕事柄、取引先の忘年会に出たりするわけなんだが、こういう場ではその会社の経営陣と会話をすることができる貴重な場でもある。

 自分の今のプロジェクトは契約上の関係で間に中請けに入ってもらっている*1わけなんだけど、プロジェクトで中請けのとこの新人君と3年目の子を預かって教えている。また、その会社で社員によって自主的に行われているJava勉強会の講師をやったりしている*2のだけど、そんな実情は経営層は全然知らないわけだ。

 技術力が外注の傭兵部隊からの借りものだったとして、プロジェクトが完遂してうまくいったとなれば、中請けの会社としては「うちもなかなかやるじゃないか」と思うことだろう。勝利の栄誉は軍を率いた大将のものである。しかし、軍を勝利に導いた戦果は誰が挙げたのかは無視できない。ましてや、それが間に合わせで雇った傭兵となれば、強いのは我が軍だ、と言えるだろうか?

 戦場で個別の部隊の働きを見ているのなら、その戦果も把握できよう。城で伝令を聞くだけではそれも見えてこない。ただ、我が軍の勝利という結果だけを重ねて「うちには優秀な技術者がいて、難しいプロジェクトも成功させてきた」という自信を得るのである。

 忘年会では苦笑せざるを得なかった。その技術者って誰ですか?それはおたくの社員ですか?とツッコミたいところだが、そういうネガティブな情報を認識させる場合はうまくやらないと怒りを買うだけなので難しい。どう戦果を認めさせるかという部分が今後の課題として残るなぁ。

まとめ

  • 傭兵が戦果を挙げればプロジェクトは成功裏に終わるので、戦果と保有する人材のギャップに気がつかない

追記

関係がややこしいので整理しておこう。

  • 元請けというか発注元は某企業グループ。企業の社内システム開発の為のフレームワークを作るというプロジェクト。技能が重視される。
  • 中請けが地方の中堅会社。ここの忘年会に出てきた。
  • 傭兵の立場にあるのが自分。元請けから仕事をひっぱってきたんだけど、与信の関係で中請けに入ってもらった。
  • もともとひとりでプロジェクトに参加していたんだけど、プロジェクトの人員増のタイミングで中請けに要請して頭数を投入。自分はそのチームの指揮官にあたる。
  • なぜか自分は中請け会社の勉強会の講師をボランティアでやっている。
  • 過去のプロジェクトでも同じ中請けの会社の新人を受け持ったことがある。

*1:元請けが与信の関係で直接取引してくれないのだ。なので間に会社を挟んで信用を借りることになる

*2:ちなみに講師の謝礼はない。ボランティアである