コンテンツは無料を広めたのは誰?

 コンテンツが無料で手に入る時代になって、TV局が動画共有サービスに苦言を呈していたりするわけなんだが、そもそもコンテンツを無料で配布していたのはTV・ラジオといった旧メディアだった。

 日本のTVはNHKを除けば、広告収入を得て、コンテンツは無料で配布するというビジネスモデルを確立し、消費者はタダでTVコンテンツを楽しんだのである。ドラマや映画などはビデオやDVDで販売されたりもしているわけだけども、通常TVで見るなら無料のものが、パッケージだと随分と高くそのギャップに驚くことだろう。*1アニメもパッケージの販売価格は随分と高い。

 動画共有サービスには、既存コンテンツの二次加工品も多く出回っているけども、その問題と「コンテンツは無料」問題は別に考えるべきだろう。消費者に「コンテンツは無料」という意識を植え付けたのはTV業界そのものだ。消費者心理としてはもともと無料で流れていたものなんだから、という思いが強い。*2ネット以前では情報流通網がなかったわけで、放送できるのはTV局だけだったから「コンテンツは無料」でもよかった。インターネットという情報の流通網が広がった時にその戦略があだになった格好だ。

 その責任をニューメディアに押し付けるのは、感情的にはすっきりするかもしれないが、問題解決からは遠ざかるだろうね。

追記

「タダが当たり前」の時代は終わる? カフェスタが「お金払って」と呼び掛けた理由 (1/2) - ITmedia NEWSという記事がタイミングよく出てきた。ニューメディアが旧メディアの負の遺産とどう戦うのか。注視していきたい。

*1:とはいえ、映画は映画館での興行収入で大分元をとっているから映像コンテンツの中ではかなり安い部類だ

*2:有料のコンテンツを「暴利をむさぼっている!」とか言って海賊版を無料で配布する義賊気どりの割れ厨もいるが…。