単純労働のパイは減少を続ける

 http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/762afce0f2b08c10bd909dde481a2b73でいう「賃金を下げれば」というのは最低賃金618円*1を500円に下げるとかいうレベルの下げではない。自動販売機コーナーの代わりに売り子を雇ったとして、自動販売機よりもコストが安く済むのであれば自動販売機より売店が増えることだろう。でもそれって人件費がいくらになったらの話だ?

 世界で稼働する産業用ロボットの40%は日本で稼働しているし*2自動販売機の設置台数も日本が断トツだ。その他、建築現場では重機が日常的に使われているし、銀行ATMなどに見られるように金融関連でのIT化も進んでいる。*3

 日本が世界第二位の経済大国でいられる理由は機械化にあると言って過言ではないと思うが、逆に日本のとどまるところを知らない機械化の波は人間から単純労働を奪った。このあたりは404 Blog Not Found:技術が上がれば労働需要が減るも触れているところ。

 そんな国では誰にでもできる労働なんてものは少なくて、知識教養をもって為さねばならない専門職に自然とシフトする。誰にでも出来る仕事のパイはどんどん減っていて、手に職がない場合はそれを奪い合いラットレースに参加せねばならない。

 日本の教育レベルは結構高いわけだが、逆にいえばその程度に知識教養がなければ働けないところまで来ているということでもある。*4このあたりは海外を見聞きするとわかると思うが、日本でよくやるように買い物で小銭が返ってこないように小銭をだすというのはアメリカでは通用しない。怪訝な顔をされる。暗算が期待できるのは日本人かインド人だという話もあるぐらい。

 IT業界でも機械化というか、ツールによる自動化は進んでいて最近では新人にやらせる仕事がなくて困っている。O/Rマッピングとかなかった時代はデータを詰め替えるだけの簡単なお仕事とか結構あったんだけど。*5結局、日本人である僕らは、機械化による生活レベルの向上を享受する代わりに、相応の労働をしなければ生活できなくなってしまった。

 ほどほどに働いてほどほどに生活する、なんてのは現代日本では夢物語かもしれない。

*1:地域によって異なる。2009年1月現在で一番低い鹿児島県・沖縄県が618円

*2:産業用ロボット - Wikipedia

*3:[不思議の国アメリカ] “オンライン決済不在”の驚くべき実態 | 日経 xTECH(クロステック)などで語られているがアメリカではチェックなんて紙ベースの仕組みが主流だと言うのだから信じがたい

*4:もちろん、学校教育が教育の全てではないので、学校外で相応の能力を身につけて働いても構わないのだが、そういう人が非常に少数であることは周知のとおり

*5:近年は単純作業はフレームワークが肩代わりするか、IDEなどのツールが肩代わりしてしまうので、単純でかつ労力のかかる作業が減った。生産性の向上とともにプログラマに求められる能力は一段と上がってきている