論理と感情の食い違い―カイコを食べる

 宇宙での食糧としてカイコが最適だとする説が出ている。http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200901152331

 現代の日本の食生活では昆虫食はおおよそ失われた。ハチノコだとかイナゴの佃煮とかが例外か。多くの人が、昆虫を食えと言われたら顔をしかめるだろう。

 で、私も感情的には昆虫食は遠慮したいわけなのだが、その感情をおいておいて、タンパク質の生産性という観点で論理的に考えるとすれば、やはり昆虫食は合理的なのだと思う。

 哺乳類を食べるということは贅沢だというのはよく言われることで、哺乳類は摂取した食糧のほとんどを熱に変えてしまう。食べても食べてもなかなか肉にならないのである。そういう意味で、食肉としては恒温動物は生産性がよろしくない。牛や豚や鳥を食べるのが贅沢だというのはこの生産性の低さによる。

 では、生産性の高いものは何かという話になるのだが、変温性の動物、つまるところワニやヘビといった爬虫類、カエルなどの両生類、魚類、節足動物などである。節足動物には甲殻類カニやエビなど)と昆虫類などが含まれる。ふだんの我々の食生活で目にするのは甲殻類と魚類ぐらいだろうか。

 そして宇宙空間での生産となれば、水を多量に必要とする水棲の動物は避けたいだろう。そうなると有力候補は昆虫となる。

 そんなわけで、昆虫を食べろと言われると顔をしかめる私ではあるが、宇宙での食糧として昆虫を、という説には合理性があって妥当だと解する。ある説の論理性を支持することと、感情的な同意とは必ずしも一致しない。