議論ツールとしてのblogに欠けている機能

 仕事術としての議論、あるいはアカデミックな場での議論、つまり、勝ち負けとかじゃなくて*1、ある種のテーマを皆で考えて答えを導こうとする建設的な議論をうまくやるコツは、論点をうまく抽出して整理しておくこと。

 議論では

  • こういう前提で
  • こういうことをしたら
  • こうなる
  • メリットはこれで
  • デメリットはこれで
  • 総合的に判断してこの案は是か非か

みたいなのを網羅的にやっていく。

 うまく網羅する*2には前提などの数え上げをうまく行うことだ。前提が変わることでいったん結論した論点を再評価すると違った結論になることもあるよね。どれが評価済みか、どれが未評価か。そして前提が覆った時に、評価済み/未評価のステータスがどう変わったか。それを混乱しないように整理することが大事なんだよ。

 音声通話にせよ、文字情報によるコミュニケーションにせよ、通信は差分で行われるんだ。差分とはどういうことかというと「流れを踏まえて」その上に議論を「重ねて」いくわけ。みんなそれぞれ現状を把握しているはずだから、そこから追加になった分だけ通信すれば事足りる。人間ってのはとってもステートフル*3な通信方式を採用しているわけだ。

 しかし、困ったかな、人間というのはメモリーの揮発性が高くて信頼性が低い*4もんだから、適当なタイミングでフルの情報を得てメンテナンスしてやらなくちゃならない。ぼーっとして聞いていなかったとか、読み飛ばしていたとか、通信パケットが欠落することもある。どうもチェックサム*5が噛み合わないな、と思ったら、パリティ*6がおかしいと思ったら、速やかに情報の同期*7を行わなくてはならない。

 で、その情報の同期というのが、とても難しい。いまはこういう状態だよ、こんな論点が挙げられ、論じられ、結論されたんだよってのををまとめた情報があればいいけど、まとまっていなかったら情報の同期がうまく行えず、そしてそのまま汚染された情報に基づいて通信が重なっていったりすると議論が愉快なことになる。これをうまく避けることが議論を円滑に進めるコツ。会議が長引いて残業とか勘弁してほしいもんね。

まとめ

 ネットワークプログラミングから学べることとして、差分通信は欠落パケットに備えてフル情報を送る準備をしておく、ということが挙げられる。コミュニケーションは基本的には差分通信であるわけだから、議事のようなフル情報をリアルタイム作成して即座に参照可能なようにしておくと議論は比較的円滑に進む。だから議論をするときはtsudaれ*8。monjudohれ*9

 議論を行うツールとして現行のBBSや、チャットや、blogにはこの部分が欠けている。運用でカバーするしかない。論点の現状どうなっているかの認識がずれていそうだ、と感じた時に同期をとるためのまとめを置く機能をシステムとしてサポートすると議論ツールとして優れたものになることだろう。

*1:揶揄をこめてマウンティングとよんでいる

*2:数学で組み合わせとかやったのを覚えているだろうか。分岐をうまく数え上げる能力がないと優秀なテスターにはなれない

*3:逆に状態をもたなくていい通信はステートレスな通信と呼ばれる。毎回必要な情報を全部送るわけだから冗長になっちゃう

*4:つまり忘れるってこと

*5:データに欠損がないかを確認する手法のひとつ。バイナリデータの相和をとって値が合うかを確認する手法

*6:メモリの情報の整合性を確認するのにつかわれたりする、ビット数の偶奇を示すビット

*7:つまるところ認識合わせ

*8:tsudaる」はリアルタイムにtwitterにPOSTしていくこと

*9:「monjudohる」は勉強会の議事をリアルタイムにblogに更新していくこと。id:monjudohがいつもやっているので「monjudohると呼ぶのはどうか」と提言したが普及していない。というか語呂が悪い