文字コードを定めても使われなければ意味がない 補足

最強なのはコレ。U+23B2 SUMMATION TOPとU+23B3 SUMMATION BOTTOMのコンビ。

ちょっとマテ、と言いたくなる。なんでシグマの上半分と下半分を分けた文字なんか作ったんだよ!

文字コードを定めても使われなければ意味がない - プログラマーの脳みそ

この文字なんだけど、Unicode一覧 2000-2FFF - Wikipediaを見れば分かる通り、Unicode3.2で追加になった文字であることが分かる。

2002年3月 Unicode 3.2 ISO/IEC 10646-1:2000の追補Amd.1に対応。JIS X 0213正式対応
Unicode - Wikipedia

このへんを丹念に調べれば分割シグマの元ネタがわかるかもしれない。ブロック的には

U+2300-23FF Miscellaneous Technical その他の技術用記号
Unicode - Wikipedia

の部分に該当する。技術用…?

んで、この謎の分割シグマなんだけど、ブクマコメントでは以下の考察が指摘された。

Σを上下に分けたのは、計算式を書く人のためじゃないかな?皆が皆パソコン知っているとは限らないんだし。

来年日本でも出るAndroid携帯ようじゃないかな?自作アプリで絵文字扱いやすくはなると思う。

まず、計算式用に分けた説なんだけど、シグマ記号の使い方を考えた場合に、2段に分割される意義がない。

上はWikipedia総和 - Wikipediaからひっぱってきた数式だが、ご覧のとおり、数列の和を表す記号なので??aとか書けばよくて、2段である必要性がない。敢えて言えば分数になるときに2段だと便利そうに思えるのだけど、実際には分数用の横線を引けないので文字だけで表現したければ3段必要になる。

そして、このシグマは部分和の場合上限のnと変数と初期値を表すi=mといった部分が必要なのだけど、この記号ではそれが表現できない。つまるところ、数式を書くのに使うことを考えても、どうにも使えない代物なのである。なので、「計算式を書く人のため」という説はちょっと説得力を持てない。

また、2002年3月時点での追加ということを考えると、Android携帯用というのもちょっと考えにくい。繰り返しになるが、シグマの右側部分の数式は2段になることで書きやすくなるような性質のもではないし、部分和の際のnとかi=mとか書くこともできない。

とうぜん、2002年というのは相応のマシンスペックを持っている時代であるから、わざわざAA的な書き方をするための文字を新たに追加するという必然性がない。すでにプロポーショナルフォントが普及して久しい時期だし、数学屋さんはLaTeXとか使っていたはずだ。*1

そんな分割シグマをわざわざ2002年3月という時期にUnicode3.2で追加したという意味が理解できない。謎は深まるばかりである。

*1:友人に数学屋の人がいて、当時そんなことを言っていたのを覚えている。