不況だからこそ質への転換を

 2009年SIer業界、どうなる - novtan別館の業界予想がなかなか面白い。IT需要に対して誰が供給を行うかというパイの奪い合いというか利権の側面が垣間見える感じ。

 実際のところ、システム開発なんてのは大手SIerといっても失敗がゴロゴロしてたりする程度にはブランド力が当てにならない業界で、システム開発の成功率は30%と言われる。*1

 システム開発は人力の作業が多く、エンジニアの技能によって成否が大きく左右されるのだが、貢献に対してその報酬は十分に払われていないという実態がある。*2技術志向よりは頭数指向で労働の牛歩戦術をとる方が稼げる商習慣なもんだから、奴隷商人と揶揄されるような派遣もどきのブラック企業が跋扈しているのだ。

 利権的な話ではうちのような零細はビッグプレイヤー達になかなか割りこめないのだけども、かといってそもそもモノを作れないSIerに発注し続けるほど顧客もお人よしではない。不況だからこそ同じカネなら質の良いものを作るところに投じて欲しいところだ。もっとも、不況だからこそ目先の価格の安いところに発注して、安物買いの銭失いになるんじゃないかという不安もある。

 派遣切りとか外注切りとかはあるにせよ、結局技術のあるところに発注しないとモノができないわけで、この不況を機に奴隷商人的なIT企業がつぶれて技術志向な企業が伸びるとよいなと思うのだけど、楽観的すぎるだろうか。

*1:遅延せず、予算超過せずに終わったことを持って成功としている。70%は遅延か予算超過を起こしている。完全に頓挫するケースが70%というわけではない

*2:これは30年前の論文に記載されており、今なお続いている