あるところにひとりのSEがいた。
顧客からのメール文面にミスがあってひと悶着あった。
客「今回のことは迷惑をおかけしまして申し訳ありません。」
SE「そうは言いましてもね、こっちもそれで随分無駄骨を折ることになったんですから」
客「そうは申しましても。以前にそちらの記載漏れでトラブルになったこともあったでしょう?イエス・キリストの話をご存じですか。罪を犯した女を石打ちに処そうとしているところで『罪のないものが石を投げなさい』といったという逸話です。こうしたミスはお互い様なのですから、あまり事を荒立てないでくださいよ。」
そこでSEは、ふむ、なるほど。その節は確かに迷惑をかけたのを許してもらったのだった、ここはお互い様だということで矛を収めよう、と思ったのだった。
そして時がたち、システムを顧客におさめたのちにSEは顧客に謝罪することになる。
SE「今回のことは迷惑をおかけしまして申し訳ありません。」
客「そうは言いましてもね、納品されたシステムにこのようなバグがあるようでは。」
SE「そうは申しましても。ほら以前あなたが『罪のないものが石を投げなさい』という話をしたでしょう?『バグを作ったことのないものが石を投げなさい』といったところでひとつ矛を収めてくださいませんか」
すると顧客はにっこりと笑ってこう言った。
客「私はプログラムなんて書いたことがないですから、バグを作ったことはありません。ちょっと君、石を持ってきて。」