ゲーム内の経済と現実通貨との関連性

 件のゲーム内ベーシックインカムの話は、そういう設計にしたらメリットがあるんじゃないの?というアイデアを述べているだけで、現実のベーシックインカムとはなんら関係しない。私は別にゲーム内でベーシックインカムを実験して現実世界に還元させようとかは考えていない

ベーシックインカムとネットゲームの関係性云々を展開してきたんですが、怖くなったのでボクはケツまくって深追いしないことにしました……。

ゲーム内通貨は仮想通貨じゃないのかjk - 消毒しましょ!

 怖くなる理由が知りたいところ。自分はその手の活動家じゃないので「ベーシックインカムとネットゲームの関係性云々」はミスリードだと思うけど。「ゲーム内の貨幣経済ベーシックインカム的な手法を取り入れるとメリットがあるんじゃないの?」という言説をしているだけだ。

 反論が「Nagiseはシミュレーションを行いたがっている」という誤解に基づいてなされていた上、「ゲーム内通貨はどうでもいい」みたいな内容だったので全て反論で返す形になってしまった。ゲーム内通貨のあり方と運営会社の収益の確保の仕方について建設的な議論を行いたいところ。ゲーム設計に柔軟性が出るのではないかという提言というところをご理解いただきたい。そんな設計だと、こうこうこういう理由でダメだ、という反論をぜひ。

用語の誤りの指摘について

また、「ゲーム内通貨」が「プレーヤー間での取引(これは変動相場制になるだろう)にも用いられる」と書いているが、ゲーム内におけるアイテムとの交換を意味しているのであれば物価変動であるので、「変動相場制」などという表現は相応しくない。RMTを指しているなら通貨同士の交換であるから「変動相場制」と言えないこともないが、この文章が先の「NPCとの間」における取引と対比される形で書かれた「プレーヤー間での取引」についての記述である以上、ゲーム内取引を想定していることは明らかで、RMTを言い訳とするのは無理である。

ゲーム内通貨は仮想通貨じゃないのかjk - 消毒しましょ!

 このあたりの指摘はもっともである。私も自分の意図を表す用語をうまく選べていなかったところは反省しなくてはならない。

 登場するものが多いので整理する。まず、アイテムだが、すべてのアイテムはプレーヤーにより交換可能だとする。*1これらはプレーヤー間でゲーム内通貨で取引されるものとする。あるいは、リアル世界の通貨で取引される場合もありこちらはRMT(リアルマネートレード)と呼ぶ。

 次に、運営によって現金と交換して提供される課金アイテムか、公式には現金から交換できないアイテムかの区別がある。

 さらに、ゲーム内通貨でゲーム内のショップなどから購入可能なアイテムか、購入不可能なアイテムかの区別がある。

 AntiSeptic氏は、課金アイテムと非課金アイテムというモノが存在することを考慮していない。

ゲームにおいては「アイテム価格というのが固定」されているのでインフレもデフレも発生し得ず、またひとつのゲームに通貨は一種類しか存在しないのが通常であるから為替相場も存在しないので「不安定」などである筈がない。

ゲーム内通貨でショップから購入可能なアイテムは価格が固定され物価は変動しない。物価変動があるのはショップで購入できないアイテムである。この点はコメント欄で指摘されている通りAntiSeptic氏の考慮漏れ。「変動相場制」と誤って表現した部分に関しては「物価の変動」であった。これは私のミスである。

 ゲーム内通貨の購入方法については自分の論から考慮が抜けていた。

現実には「ネットゲーム内通貨」がひとつの商品としてリアルマネーによって購入されているだけであり、それを「基準」として円の価値が変動するなどと言う話は聞いたことがない。

 ゲーム内の通貨が、リアル通貨によって直接的に買われる場合、ゲーム内通貨の価値はリアル通貨とのレートをもとに安定する。これはセカンドライフ内の通貨リンデンドルのようなケース。私はこちらを想定していなかった。

 リアル通貨 → 課金アイテム → ゲーム内通貨 というアイテムを介してのみ、ゲーム内通貨に価値が付与されるケースを想定していた。このような想定下でゲーム内通貨の価値がリアル通貨に対して変動して安定しない。もちろん、リアル通貨がゲーム内通貨によって変動するようなことはない。

ユーザ心理についての話

id:godnee RMTを嫌う理由は、ゲームとしての設計の問題、ビジネスモデルの問題、プレイヤー感情の問題、の3つの混合です。

 私はビジネスとして考えるならRMTがなされても問題がないように設計するほうがよいように思う。カネの流れを作り出してその流れに税金をかけるような方式で収益を得るか、あるいは「何か価値あるもの」をユーザに直接購入してもらうかのいずれかだと思うが、ビジネスとして成り立ちやすいのは前者だと思うから。

 こうした部分は当然ながらゲームの設計時に織り込まざるを得ない。あとはプレイヤーの感情の話になるけども、このへんは正直自分にはよくわからない。

id:godnee 設計に関しては、RMTでゲーム内通貨が一部のプレイヤーに集中しちゃってもいいような作りにしとけばいいんですが、プレイヤー間のアイテム交換時の「物価変動」が物価高の方向に触れちゃうと、昨日今日にゲームを始めた人が追いつかなくなってしまうんですね。

 ゲーム内ベーシックインカムはその部分に対してメリットがあるんじゃないか、というのが私の提言。

id:godnee ビジネスの問題は、何万時間もの長居をさせないといけない月額料金制にとって、RMTでゲーム内通貨を買われると、有る程度ゲームの道のりをショートカットされる上に、ゲーム内通貨の売り上げはモグリのRMT業者のフトコロに入ってしまうってとこですね。癪だなぁ、という。

 ゲーム内通貨の設計が甘いとゲームバランスが崩壊するのではないかという指摘は前回したとおり。RMT業者のフトコロに入って癪という話には納得。

id:godnee アイテム交換でキモになるのは、店で売っていないモンスターから出るレアアイテムで(店に売れなかったり、売ってもゼロゴールドであったり)、それをいっぱいゲットできるほどのハイレベルなプレイヤーたちがいるとします。彼らによってもたらされたレアアイテムには高い値段がついて、どうしても欲しいプレイヤーはRMTでゲーム内通貨をファーマーなどから調達してきて、買います。するとゲーム内通貨はすぐ元々アイテムを持っていたハイレベルプレイヤーのほうに移動します。レア度の高低はありますが、店では買えないアイテムが集中的に四六時中プレイしている人にまずゲットされ、彼らの基準で値付けされて他のプレイヤーに「卸される」ため、プレイヤー間の相場値は高値安定の方向にふれます。ファーマーも人海戦術でゴールドを集めている間にレアアイテムをゲットしたりするわけですから「プレイヤー露店価格」はRMT(とファーマー)の出現で高めになっていく、というのは上限なく起こりえます。

 モンスター討伐でゴールドとアイテムが獲得できる、というシステムがファーム行為をしやすくしているんじゃないだろうか。もっとも、アイテムをモンスターから取得できるシステムである限りは狩りは行われ続けるから、同時にカネも稼がれるというのを防ぐだけで、やはり物価高に向かうことは向かうんだろうか。

ブコメの反応

b:id:rag_en ネトゲ, 経済 ゲーム内経済成長が考慮されてない気がする。

 ゲーム内の経済成長ってのは考慮してなかった。だんだん経済規模が大きくなっていく感じだろうか。経済成長、経済成長…。うーむ。うまくイメージできない。

b:id:kiichi55 途中からレア本位制に移行するからなぁ・・。「通貨」の定義をちゃんとやった方がいい気がするけどなぁ…。

 結局のところ、アイテムを延々と強くしていくのは限界があるので、レア性を売りにしたアイテムを出し続けるしかないんじゃなかろうか。

b:id:gifumaster 複数アカウント前提になる気がするな、ベーシックインカム

 アカウントがアクティブな時間によって支払われるなら、複数アカウントでも問題ないのでは。眠っていても収入が得られるなら休眠アカウントの大量取得になると思われ。

b:id:kilrey ゲーム, 工学 MMORPGの「通貨」はバランス崩壊要素だという話。私は捨てて構わない要素だと思うけど、どうにかする努力もあった方が良い
b:id:SEBEC ゲーム, ビジネス, 設計 ゲームにおいて「金銭のやり取り」という概念はとっ払っても問題ない程度の要素。元々大して意味を成さないものに、無理矢理意味を持たせる必要性は無い。 / 通貨自体が無いMMO(MO)RPGないかな

 まぁ確かに通貨自体いらないよ、っていうのも考え方としてはアリか。

b:id:steam_heart てか、月額課金しているゲームの方が今栄えている気がせんでもない。トレードで遊べるゲームはたくさんあるが、そこら辺のシステムもうちょっと見て回ったほうがいいと思う。取り敢えず、MMO初心者乙。

 サーセン

*1:ファンタジーアースゼロではアイテム交換や売買にも制限があるが、ここでは交換可能として話をする