個人のWebサイトは費用対効果があがらない

「発表の場」としての個人サイトは絶滅する。
http://d.hatena.ne.jp/ululun/20081101/1225554300

僕は「絶滅する」側に一票いれる。絶滅は言い過ぎかもしれないが、個人のWebサイトというのは極少数というところまで追い込まれると予測する。

作品はもともと埋もれていた

「繋がり」が強化されている一種SNS的状況においては多くの才能が埋もれた儘発見されないという不幸をも同時に創出しているのがpixvの現状であるように思われる。

http://d.hatena.ne.jp/ululun/20081101/1225554300

pixvのようなSNSでなかったとしたら、その作品は誰が拾うのだろう?たとえば増田にせよ、pixvにせよ、mixiにせよ、新規に投稿されたものが一堂に集う場所というのがある。くまなくチェックしたいならそこを漁ればよい。

では、個人サイトはどうだろうか?個人サイトの新規投稿の一覧ページはあるだろうか?RSSを集めるようなページを作ることは技術的に可能だが、誰かの手でそのサイトに登録しなければならない。つまり、網羅ができない。

Googleは非情にも注目されないページは後ろへ後ろへと回してしまうし、投稿さえすれば誰かの目につくかもしれない、という期待さえ持てないのである。pixvのようなSNSでも作品が埋もれると言うのに、個人サイトだと埋もれないという反証がない。個人サイトだともっと埋もれてしまう。

万人が納得するサービスなどない

人によって求めるものは違う。

pixvのようなSNS的ポータルというのは例えば「描き手さんのブログが読みたい」とか「描き手さんとコンタクトを取りたい」というニーズを補完する事は出来ない。イラストを「見る」だけのニーズしかない、自分の好きな描き手さんのイラストを見るだけで事が足りる、お気に入りに入れたりちょっとしたコメントの交流だけでよいというのならpixvでも完結するのかもしれないが、それ以外のニーズを持っている人にpixvという場は狭すぎる。そしてそうした「機能」を内部的に持とうとすると処理速度が遅くなったりして「いらない機能を追加した」とDisられるのは必定なんであるw

というのは現状のpixvの分析としては、なるほどと頷けるものである。機能追加に関しては比率はともかく、少なからず否定派が出るのはやむを得ないことだと思う。

だが、現状のpixvを持って個人サイトでなくてはだめだよね、というのは早計に思う。イラスト付きの日記というのもネットではよく見かけるわけだが、そうした方向性に特化したサービスもいずれ生まれ来るのではないだろうか。

例えば、はてなでも絵や写真をアップできるはてなフォトライフがある。イラスト日記に使うにはダイアリとの連携がまだまだといった感じではあるが、絵の投稿がしやすい作りで、かつ、絵だけを一望してそこからダイアリに辿り着けるような玄関口が整備されたなら、そうした「描き手さんのブログが読みたい」とか「描き手さんとコンタクトを取りたい」というニーズを補完できてしまうことだろう。

つまるところ、個人で密なリンクを作るには費用対効果が微妙

昔、表現をしたい人間が発表の場としてインターネットを選び、次々と個人サイトができていった。
「ホームページ」とも言うように、みんなが個人の家を持ち、その家の中で作品を発表した。
みんながみんな、点々と家を持ち発表をしていた。
しかし、同じジャンルを志すもの同士、繋がりたいものである。
それを助けていたのが「リンク集」や「登録型サーチエンジン」。
同好の士、お互いの家は離れていたけど、どこに位置するかを示す地図があり、みんなそれを頼りに足を運んだ。仲間に入るためにみんな自分の家を地図に載せてもらった。でも、みんなどこかバラバラだった。
数年前だけどかなり昔の話。もう戻ってこない遥かなる過去。

「発表の場」としての個人サイトは絶滅する。

といった時代から、密なのがあたりまえの時代に移ってきた。単に個人サイトを立てただけでは得たものを全て失うことになる。

個人サイトは自由である。運営の規約などに縛られることもない。しかし、運営側が苦心して作り上げてきた情報の連結を借りることができなくなってしまう。それらのシステムも含め、自分で作らなければならない。それはあまりに費用がかかる。自作できるスキルがあったとしても時間がかかる。

そして得られるものといえば、その辺の無料サービスと同等なのだから、苦労してまで自分で自分の城を構築しようとはしないことだろう。費用対効果が割に合わないのである。


ニーズはいずれ供給される。

自前でシステムを用意するのはIT屋ですら躊躇するほどに高度化し費用が嵩むものになってしまっている。そこを敢えて自前で作ろうという個人Webは縮小の一途をたどるだろう。